−みずむしは本当に治らないの?−
「みずむし (水虫) は治らない」「みずむしが治せればノーベル賞ものだ」と言われることがありますが,果たして本当でしょうか?
皮膚科医の立場からすると,「NO!」です。現在のみずむし(足白癬)外用薬は強い殺菌力を持っています。
では,なぜ「みずむしは治らない」と言われるのでしょうか??答えは5つあると思われます。
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1. 治療期間や外用薬の使用量が足りない。
外用薬による治療期間は2〜6か月間を要します。また、両足の裏全体に塗る場合には1か月に4〜5本を要するため、高価な市販薬の使用では追いつきません。
2. 湿疹化している病変にみずむし薬だけを塗っている(写真1)。
みずむし薬を塗るとみずむし菌(白癬菌)は消失します。しかし、赤みやかゆみを帯びてジュクジュクする(湿疹反応)病変はひとり歩きしてしまい,ステロイド薬を併用しない限り改善しません。
3. ゆびの間が白くなっている病変にみずむし薬だけを塗っている(写真2)。
みずむし薬を塗ると水虫菌は消失しますが、白くなっている病変は細菌感染が原因なので改善しません。抗生物質を塗布すると多くは治癒するものの,どうしても治らない場合もあります‥。
4. みずむしではないと思って外用していない(写真3・4)。
「みずむしはかゆい」と思われがちですが,赤みのないみずむしの多くはかゆくありません。
この中には、皮膚の角質が厚くなった角化型も含まれます(写真4)。角化型では菌まで薬剤が届きにくいため、外用薬に加えて内服薬の併用が必要です。
5. 爪みずむし(爪白癬)を合併している(写真5)。
爪水虫からは常に水虫菌が散布されています。
爪みずむしは非常に難治ですが,内服薬を使用すると3人のうち2人程度は治ります。さらに,爪をルーターで削る等により,治療成績はもう少し上がります。